代表理事就任挨拶

社会システムデザインセンター
代表理事 片桐恭弘

心を合わせて危機をチャンスに

日本の人口は2010年の1億2800万人をピークにその後は減少が続いています。1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」は2022年には1.26となりました。人口減少は加速しています。平均寿命の向上と相まって人口に占める高齢者の割合は世界最高レベルです。首都圏への人口流入は依然として増加しており、一極集中と地方の過疎化が続いています。

世界に目を向ければ、地球温暖化による異常気象・災害があちこちで深刻化しています。ヨーロッパ・世界各地で争いのために多くの人々が犠牲となっています。

情報技術の発展はプライバシー侵害、偽情報の氾濫、政府・巨大企業による支配、政治的対立の激化をもたらし民主主義の危機さえ叫ばれています。

AIに代表される先端技術は、経済の繁栄や人々に幸せをもたらす大きな原動力となる一方で、戦争や支配の極めて有効な道具にもなります。先端技術開発では、トップダウンの研究開発に加えて、その成果をどう使うか、研究開発をどの方向に進めるか、市民レベルでのボトムアップな議論と合意形成が両輪となって進展することが何よりも大切です。

WHOの報告によれば日本は健康寿命が世界一です。優れた健康保険の社会制度のためと言われています。私たちにはきめ細かな合意形成を通じて心を合わせる力があります。人口減少・高齢化は世界の潮流です。高齢化先進国の日本は率先してその課題に取り組むことによって、これからの世界の進む道を拓くポテンシャルを有します。

社会システムデザインセンター(SSDC)は、多様な背景をもった人々が集まり、未解決の社会課題や地域課題に光を当て、 情報技術を活用して、現場発想で新しい社会をデザインする、そして実際に新たな社会事業を生み出していく。 そのような活動を進めています。これからもみなさまと心を合わせて前進します。

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